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ADHD(注意欠陥・多動性障害)

どんな行動をする?ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断基準について

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ADHD 診断基準

ADHD(注意欠陥多動性障害)かどうかの判断で行動を客観的にみる世界共通の診断基準があります。
項目で当てはまる数を数えて、一定の数以上に当てはまる場合にADHDであると判断する方法です。

この診断基準をつかって診察を行っている病院が多くあります。
よく知られているのがアメリカの精神医学会のDSM-Ⅰと世界保健機構のICD-10です。
今回は、「DSM-Ⅰ/ICD-10」このふたつの診断基準について説明いたします。

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アメリカの精神医学会によるADHDの診断基準について

ADHD チェックリスト

ADHD(注意欠陥多動性障害)を診断する際の医学的な診断基準のひとつにDS(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)があります。

これはアメリカの精神医学会が精神障害の統計・診断マニュアル(DSM-Ⅰ)を1952年に作成したことから始まります。アメリカの精神医学会の作成マニュアルが全世界の共通の精神障害の診断基準として広まったのは1980年以降で、DSM-Ⅲが作られてからです。

このADHDの診断は項目の中で何個以上当てはまれば精神障害とわかるようになっています。精神障害の原因や内面をはかることなく、客観的に判断できることのみに注目します。患者に問診をすることでADHDの診断結果がわかるので誰にでも診断が出来る利点があります。

ADHDはうつ病などとは違って、生まれつきの脳の機能障害ではありますが、DSMの精神障害の中に入っています。ADHDはDSM-5では『脳の機能障害を前提とする発達障害の一種』として認定されています。

また、「注意欠陥多動性障害」という日本語訳が多く広まっていましたが、近年は欠陥という言葉でなく欠如を用いるようになってきていて、「注意欠如多動性障害」と訳されるようになっています。

DSM-5の判断基準とは

2013年にアメリカの精神医学会によりDSM-5が作成されました。ADHDの診断基準は不注意と多動性・衝動性の2項目となっています。

診断名も障害や欠陥という言葉を避け、注意欠如多動症という表現が使われています。これはマイナスイメージを持たれないようにしてあります。

DSM-5におけるADHD(注意欠如・多動性症)の診断基準

■A1:以下の不注意症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。

  1. 細やかな注意ができず、ケアレスミスをしやすい。
  2. 注意を持続することが困難。
  3. 上の空や注意散漫で、話をきちんと聞けないように見える。
  4. 指示に従えず、宿題などの課題が果たせない。
  5. 課題や活動を整理することができない。
  6. 精神的努力の持続が必要な課題を嫌う。
  7. 課題や活動に必要なものを忘れがちである。
  8. 外部からの刺激で注意散漫となりやすい。
  9. 日々の活動を忘れがちである。

■A2:以下の多動性/衝動性の症状が6つ(17歳以上では5つ)以上あり、6ヶ月以上にわたって持続している。

  1. 着席中に、手足をもじもじしたり、そわそわした動きをしたりする。
  2. 着席が期待されている場面で離席する。
  3. 不適切な状況で走り回ったりよじ登ったりする。
  4. 静かに遊んだり余暇を過ごしたりすることができない。
  5. 衝動に駆られて突き動かされるような感じがして、じっとしていることができない。
  6. しゃべりすぎる。
  7. 質問が終わる前にうっかり答え始める。
  8. 順番待ちが苦手である。
  9. 他の人の邪魔をしたり、割り込んだりする。

■B:不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは12歳までに存在していた。

■C:不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは2つ以上の環境(家庭・学校・職場・社交場面など)で存在している。

■D:症状が社会・学業・職業機能を損ねている明らかな証拠がある。

■E:統合失調症や他の精神障害の経過で生じたのではなく、それらで説明することもできない。

引用元:NPO日本次世代育成支援協会「後悔しない子育てと家族コミュニケーション」〜AD/HD〜

12歳までに存在する症状とは?

DSM-5では12歳までに不注意、多動性・衝動性のいくつかが存在していたことが診断基準のひとつになっています。

ADHDは生まれつきの障害のため、幼いときから症状が出ています。心身症などのように後天的な精神的な病気ではないことが診断の重要なポイントです。

2つ以上の環境とは?

ADHDは学校だけで症状がでるものではありません。場所が変わっても本来もっている要素が変わらずあることが必要です。

例えば、家庭ではおとなしくじっと座っていることができ、学校に行くと先生が怖くてソワソワしている場合はADHDの診断基準は満たしていません。

社会・学業・職業機能を損ねている証拠とは

普段の生活で困ったことがなく、支障なく過ごせているのであれば、それは障害ではありません。本人が幼稚園や学校・家庭・社会の生活のなかで苦労している場合にADHDの診断がされます。

そのほかの診断基準をいくら満たしていても、支援や配慮の必要がなく日常で困ることがなければADHDの診断はでません。

世界保健機構(WHO)による判断基準

一方、国際連盟の専門機関である WHO(世界保健機構)による分類があります。1990年に改定され、ICD-10があります。

疾病および関連保険問題の国際統計分類として公表しました。このICD-10の基準では多動性・衝動性・不注意の分野ですべて症状が当てはまる場合にADHDの診断がでます。

多動性障害の診断基準

■G1.不注意:次の症状のうち少なくとも6項目が、6ヶ月以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣合いであること。

  1. 学校の勉強・仕事・その他の活動において、細かく注意を払えないことが多く、うっかりミスが多い。
  2. 作業や遊戯の活動に注意集中を維持できないことが多い。
  3. 自分に言われたことを聞いていないように見えることが多い。
  4. しばしば指示に従えない、あるいは学業・雑用・作業上での仕事を完遂することができない(反抗のつもり、または指示を理解できないためではなく)。
  5. 課題や作業をとりまとめるのが下手なことが多い。
  6. 宿題のように精神的な集中力を必要とする課題を避けたり、ひどく嫌ったりする。
  7. 学校の宿題・鉛筆・本・玩具・道具など、勉強や活動に必要な特定のものをなくすことが多い。
  8. 外部からの刺激で容易に注意がそれてしまうことが多い。
  9. 日常の活動で物忘れをしがちである。

■G2.過活動:次の症状のうち少なくとも3項目が、6ヶ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣合いであること。

  1. 座っていて手足をもぞもぞさせたり、身体をくねくねさせたりすることがしばしばある。
  2. 教室内で、または着席しておくべき他の状況で席を離れる。
  3. おとなしくしているべき状況で、ひどく走り回ったりよじ登ったりする(青年期の者や成人ならば、落ち着かない気分がするだけだが)。
  4. 遊んでいるときに過度に騒がしかったり、レジャー活動に参加できなかったりすることが多い。
  5. 過剰な動きすぎのパターンが特徴的で、社会的な状況や要請によっても実質的に変わることがない。

■G3.衝動性:次の症状のうち少なくとも1項目が、6ヶ月間以上持続し、その程度は不適応を起こすほどで、その子どもの発達段階と不釣合いであること。

  1. 質問が終わらないうちに、出し抜けに答えてしまうことがよくある。
  2. 列に並んで待ったり、ゲームや集団の場で順番を待てなかったりすることがよくある。
  3. 他人を阻止したり邪魔したりすることがよくある(例;他人の会話やゲームに割り込む)
  4. 社会的に遠慮すべきところで、不適切なほどに過剰にしゃべる。

■G4.発症は7歳以前であること

■G5.広汎性:この基準は複数の場面で満たされること。たとえば、不注意と過活動の組み合わせが家庭と学校の両方で、あるいは学校とそれ以外の場面(診察室など)で観察される。

(いくつかの場面でみられるという証拠として、通常複数の情報源が必要である。たとえば、教室での行動については、親からの情報だけでは十分とはいえない)

■G6.G1-G3の症状は、臨床的に明らかな苦痛を引き起こしたり、あるいは社会的・学業的・仕事面での機能障害をひき起こすほどであったりすること。

■G7.この障害は広汎性発達障害(F84.-)、躁病エピソード(F30.-)、うつ病エピソード(F32.-)、または不安障害(F41.-)の診断基準をみたさないこと。

広汎性発達障害とは自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害でDSM-5では自閉スペクトラム症とされています。

引用元:軽度発達障害フォーラム ADHD - 定義・診断基準

DSMやICDの診断はどこで受けられるの?

ADHD 診断できる場所

ADHDの診断基準で診断名をだせるのは医師免許を持つ人のみです。心理士などは診断テストを判断できても、診断するのは医師の仕事です。

この診断を受けるためには子どもの場合は小児科、小児神経科に行く必要があります。大人の場合は精神神経科、心療内科の専門医に診てもらいますが、ADHDの診断をくだせる病院が限られています。

実際のADHD診断の流れ

小児科でも発達障害の診断ができない場合が多くあります。大抵は発達障害専門に診る医院での診断を受けます。予約なしでは受診できない場合が多々あるのでよく調べる必要があります。

DSMやICDの診断基準以外の問診が重要

生育歴や家族歴、病歴など親や本人から聞き取り調査があります。その時に普段の生活で不便なこと、気になることなどを聞かれます。

言動を具体的にメモして持っていくようにしましょう。大人の場合は通知表など過去の言動がわかるものを用意する方がよいでしょう。

心理検査をすることもあります

ADHDの診断基準があっても、ほかの症状と似通っている場合がかなりあります。心身症などではないのか確認のため、心理検査などが行われます。また、発達検査などで知能レベルを検査することもあります。

そのほかの検査はあるの?

脳波や注意集中力検査、CTやMRIで検査をする場合もあるようですが、医師によってどの検査をして診断するのかは違いがあります。

DSM-5とICD-10のどちらを使うの?

アメリカの精神医学会が作成したDSM-5とWHOの作成したICD-10のどちらを使うのかは医師によって違います。どちらも使用しない場合もあります。

多くの医師は日本で培われてきた独自の診断基準も使用しているといわれています。公的な診断書や手帳に記載する際はICD-10の基準に沿っています。

誰にでも出来る簡単なチェック方法

DSMやICDは専門家のための診断基準です。誰でも同じように診断がくだせる利点がありますが、難しい文面もあります。ポイントを絞ったチェック方法もあるので、気になる方は確認してみてください。

  • 人の話をきちんと聞けない
  • 指示に従えず、宿題や業務をうまくすすめられない
  • 細かい注意が出来ず、ケアレスミスをしやすい
  • 注意を持続することが難しい
  • 外部からの刺激で注意散漫となりやすい
  • 課題や活動を、計画立てて整理することが出来ない
  • 継続的に行う作業が出来ない
  • 仕事などでやるべきことを忘れがちである
  • 日常生活でいろいろと忘れてしまう

これらがすべて当てはまったとしてもセルフチェックなのでADHDの可能性ははっきりとはわかりません。心配な方は病院での診察をするようにしましょう。

まとめ

ADHDの診断基準はアメリカの精神医学会のDSMと世界保健機構のICDが有名です。多くの病院で採用されています。どちらとも多動・衝動性・不注意がみられるのが早い段階であり、幼稚園や学校ですごすときに困難さがある場合に診断されます。

ADHDは言動を注意したり気をつけたりすることで治るものではありません。その人に合わせた支援や配慮が必要になるので、自己判断をせず専門家にみてもらうことをおすすめします。

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